自費出版の魅力と注意点

無名の作家が自分の作品を出版する事例が増えています。有名作家を志す者は皆、自分の著作を上梓するのは最大の夢ですから、そのような動きは当然と言えます。ただ注意すべき事も幾つか挙げられます。特に①後悔しない仕上がりを目指すこと、②なるべく負担を軽くすることには留意する必要があります。

①に関しては物書きなら首肯するはずです。書物は一旦世に出せば、その内容を修正することができません。例えば誤字脱字がそのまま店頭に並んでしまった状況を想像してください。プロの作家を自認する以上、最も恥ずかしいことに違いありません。しかも購入された本を回収することは不可能です。自分のミスがどこかに残り続けるのです。もちろん人間ですから誰であろうと間違いを犯します。商業出版のプロセスでさえ、プロの編集の校正を潜り抜けることも多々あります。自費出版なら尚更避けられないことでしょう。ただ全力を尽くすことが大切です。後悔しない水準にまで推敲とチェックを重ねることが求められます。

②は言われなくてもそうすることでしょう。大富豪の趣味ならいざ知らず、困窮している作家は費やすことのできる額の上限に縛られるからです。また出版後に負担額を取り返せる保証がどこにもないことを、著者自身がよく分かっているはずです。前述しましたが、どんなに内容が素晴らしくても、無名の作家の本を手に取る物好きは皆無と言ってよく、買ってくれる人は知人がほとんどを占めます。自費出版を試みる人は自分の作品を「売る」というよりも、自分の本を世に出した満足を「買う」という意識が勝っているのが実情です。もちろん「自己満足に過ぎない」という冷めた見方もできますが、どのような形であれ出版したという実績は不滅です。