自費出版の完成度

自費出版は当然ながら、商業出版の本に比べて完成度は低いと言わざるを得ません。しかしそのことは読者も覚悟して読みますから、著者がそこまで気にかけることではないのかもしれません。たとえ洗練された文章でなくても、人はそこから感動を覚えることがあります。自費出版の目的は正にそこにあるわけですから、初心者が初めから神経質になる必要はないのです。筆者も覚えがあるのは、ある男性が自費出版した書籍で、そこには若くして亡くなった子どものことが書かれていました。子どもに対する愛情や、亡くなった時の悲しみが、素直に表現されていたのが印象的でした。決して優れた文体ではありませんでしたが、古典やプロの作家の本から得られるものとは異なる、特別な読書体験をしました。

自費出版されて書店に並んでいる本は多様で、会社で苦労した話や単なる紀行文、闘病体験等、それほど特異ではないものも少なくありません。しかしそれらが出版されたことには、大きな意義があると考えます。そして何よりも、そこには著者の喜びがあります。自己満足に過ぎないかもしれませんが、本を上梓するということは、それだけ大きなイベントなのです。本を一冊仕上げるためには、相当の時間と労力を必要とします。いわゆる単行本であれば、1ページで600文字は執筆しなければなりません。つまり100ページの本であれば、最低でも5万文字は必要になるのです。これは原稿用紙に換算すると125枚に及びますから、空き時間を利用したくらいでは、短期間に書き上げることは叶いません。また書籍として出版するとなると、原稿だけでは済みません。扉、目次、奧付といった仕上げにも苦労するはずです。著者が編集も兼ねる場合は、章立て、大見出し、小見出しといった整理も必要になります。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です